1982年、今から42年前に発売されたエプソンのハンドヘルドコンピュータ HC-20をオークションで入手しました。
わりと人気の機種なので、だいたい結構な値段につり上がってしまって諦めるのですが、なんかダメ元で1回入札したらそのまま落札できてしまいました。ご縁のある機種って、なぜか相場よりも安くあっさり落札できたりするものなんですよねー。
それまで、中の人も現物にお目にかかったことはなかったのですが、雑誌等では勿論存在を認識していて、いわゆるモバイルのカテゴリーですから、当時からやっぱり手に入れてみたかった機械でした。
モバイルだけどA4サイズのゴツイ筐体にガチ目のフルキーボード、プリンタ、データレコーダ内蔵と、このジャンルとしてもかなり先駆的なマシンでした。
エプソンのWebでも、マイルストーンプロダクトとして紹介されています。
ハンドヘルドコンピュータ「HC-20」 | 企業情報 | エプソン https://corporate.epson/ja/about/history/milestone-products/1982-7-hc20.html
通電させてみるまで
入手したブツは出品時の説明が「通電未確認」(ACアダプター無し)でした。アダプターがなくて通電確認できていないだけで通電する可能性はあるんじゃないか?と踏んでの落札でした。
純正のアダプターがないと電源入れることすらままならないじゃないかと、昔の中の人なら思っていたでしょう。しかし、今の中の人には強い味方「安定化電源」があるのです!定格(電源のスペック)さえわかれば、たいがいの電源は供給できるのだ!
mobileFF's blog: 直流安定化電源と変換プラグセットを買ってみたらレトロガジェットのACアダプタ問題が雲散霧消した
https://mobileff.blogspot.com/2022/10/ac.html
ほんとマジで安定化電源は最高です。みなさんも一家に一台ぜひどうですか。
ということで、HC-20の背面の定格を調べて、安定化電源の電圧、電流を設定します。
ACアダプターは充電用っぽい(この当時のモバイルガジェットにありがち)ので、まずは充電用の電圧、電流に合わせて設定してみます。
緊張のスイッチオン。
ピピッと起動音らしきものがなりますが、画面が全く映りませんでした。
通電はしたものの、起動はできずなのか・・・
動作の様子を確認
電源が入ることはわかりましたが、画面は映りません。
ただ、LCDがだめなだけの可能性もあり、ブラインド状態で、BASICを起動するキー操作を行ってみました。
(以下の写真は対応後の液晶で撮影したものです)
まず初期起動時はメモリ内容?をリセットするために[CTRL]+[@]で再起動します。
その後、[MMDDYYHHMMSS]フォーマットで現在時刻を入力すると再起動がかかります。
[2]を押すとBASICが起動しますので、
SOUND 10,10
を実行して音がなるかどうかを確認しました。
このあたりをいろいろ試行錯誤している最中に、なんか・・・文字が見えたような気がしたんですよね。結果として、すごい鋭角な視点から見ると、透明ながらうっすら文字が見えることがわかりました。
見える!見えるぞ!私にも文字が見える!
希望の光が見えましたが、同時に、少し動かしていると、「CHARGE BATTERY!」と表示されて電源が落ちてしまう状態であることもわかりました。
この時点で対応すべき点は2つ。
①液晶の映りが薄すぎる問題を改善する
②バッテリー駆動が電圧なさすぎる問題を改善する
液晶を修理改善する
液晶の映りは、いわゆるビネガーシンドロームの疑いがあったので、偏光板を取り替えてみました。
開腹してLCDをよく見ると、やっぱり特徴的な黒ずみが。
偏光板と言われるものはこの手の液晶では2枚あるっぽいのですが、中の人が取り替えたのは手前側の比較的簡単に剥がせるほうだけです。あと、元通り接着するのは面倒だったので、ちゃんと同じ大きさにカットして、そのまま同じ場所に置くだけにしました。
ちなみに、HC-20は開腹がとても簡単でやりやすいです。爪でカチッとはめる形式の裏蓋とかだと、この手のレトロガジェットはプラスチックもだいぶ強度が落ちているので、開けるときの勢いで爪を折ってしまうことが多々あるのですが、HC-20はその悩みとは無縁で、素晴らしいです。
電源周りを魔改造する
モバイルガジェットとしての矜持の一つは、バッテリー駆動による持ち運びながらの利用、ということにあるのは中の人も十分理解しているつもりですが、この手のレトロガジェットを実際に持ち歩いて使うかといえば、正直、絶対しないと思います。
よって、中の人はレトロガジェットについては、バッテリー駆動の再現にはこだわっていません。
ということで、早速開腹してNiCd充電池は取り除きました。
内部の基板は全体的にすごくきれいな状態だったのですが、充電池を基板に接続するコネクタの部分は液漏れによる腐食が起きていて、コネクタを引き抜こうとしたら中のピンごとポッキリ逝ってしまいました。
まあそれもあり、電源は充電前提じゃなく、充電池が接続されている箇所に動作用の電圧、電流を提供することにしました。
取り回しを少しでも楽にするために、ACアダプターの端子を、充電池が接続されていた箇所へ接続します。ACアダプターはもともとがセンターマイナスですが、現在はセンタープラスが普通なので、ACアダプタージャックについては基板と接続されているハンダを取り除いて、充電池の接続先に直結させました。ただ、ハンダを取ると固定されなくなるので、かなり強引ですがグルーガンでジャックをいったん固定させました。
動作用の定格は4.8V、1.9Wです。オームの法則?でW=VAなので、必要な電流値は A=W/V=1.9/4.8=0.395Aになります。
ということで安定化電源で4.8V/0.395Aに設定して接続してみましたが、通電せず。
充電電圧が6Vだし6Vくらいまでは許容されるであろうと(根拠のない理論)、電圧だけを6Vくらいまで上げてみたところ、無事に電源が入りました。
続いて、RS-232Cでの通信ができるようにしてみたいと思いますが、エントリを分けます。
続きはこちら
[今更誰得] EPSON HC-20を軽く修理改造してRS-232C通信を試してみた #EPSON #HC-20 #HX-20
https://mobileff.blogspot.com/2023/02/epson-hc-20rs-232c-epson-hc-20-hx-20.html
ということで、いったんここまでです。
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