[今更誰得] ヤマハMSXの一部機種に搭載されている「ミニカートリッジスロット」用のROMカートリッジを自作してみた #MSX #YAMAHA

(追記2022/3/29)アドレスラインのジャンパ(J5/J6)についての記述が不完全だったようなので記述を修正しております

ヤマハCX7M/128を購入したときのエントリでも書いたのですが、この機種を初めとするヤマハの一部機種には、「ミニカートリッジスロット」という30pinの独自スロットがあります。

MSX.orgの説明

Yamaha Mini-Cartridge Slot - MSX Wiki

もちろん標準のMSXカートリッジとも、ヤマハMSXではおなじみの「サイドスロット」(SFG-01/05などを挿すやつです)とも全くピン配置の互換性はありませんというか、そもそもカートリッジの形状(カードエッジコネクタ)をしていないです。ピンヘッダ?というのでしょうか、PCの古いIDE HDDとかの接続コネクタの形状なんですよ。



ミニカートリッジスロットは、40年近くも前の、ヤマハの一部MSX機種にしか搭載されなかった超レアな独自スロットですので、専用カートリッジは実在はしていたようなのですが、令和の現在となっては市中に専用のカートリッジの個体など出回っているはずもなく、中の人もこの2~3年、各種オークションサイトを巡回するのが日課になっていますが、ついぞ見かけたことがありません。
 
もしかすると、個体自体はバイヤーの手元にあるのかもしれませんが、形状が特殊なために、これがまさかMSXの周辺機器であるとは全く気付かれずに、ヤマハの楽器カテゴリか何かで出品されているのかもしれません。
(このエントリを見て気づいた方はMSXカテゴリで出品してほしいww)

ちなみに、ヤマハの有名なシンセサイザーDX7にも、似たようなROMカートリッジがあるようなんですが、形状はカードエッジコネクタで、ミニカートリッジとの互換性はなさそうでした。

・・・ということで、最強の宝の持ち腐れスロットともいえるミニカートリッジスロットなんですが、ある日、何気なくeBayを見ていたら、なんと






こんなブツが出品されているではありませんか。
ミニカートリッジスロット用のDIY基板のセットです!

もちろん、これを発見した当時、中の人はROMを焼いたこともなければ、道具も持ってませんでしたが、まあとりあえず買うしかないでしょうと即落札w

落札手続きは脊髄反射の電光石火でしたが、海外からの発送なので、到着までに1ヶ月くらいかかるような場合も多々あります。その間に、それ以外の道具はそろえれば良いか、ということで道具を揃えたのですが、肝心のキットが届くまでにはまだまだ時間がありそうな気配・・・。

と思っていたときに目に入ったのが、ヤフオクでのraphnet.さんの標準MSXのROMカートリッジ自作用基板です。

それで、eBayからブツが届く前に、MSXの普通のROMカートリッジ作ってみるのも面白いかも?とやってみたのが↓のエントリというわけです。

mobileFF's blog: [今更誰得] MSX用のROMカートリッジを自作する #MSX


で、さらにしばらくして、ようやくeBayからキットが到着しました。
とはいえ、どんなROMを焼くのか、全く考えていなかったので、到着後もしばらく放置してしまったのですがww まあとりあえずソケットを付けてEPROMを取り替えられるようにすれば、実験的にいろいろなROMを試せるから良いだろう、ということで、今回作ってみることにしました。

必要な道具の説明はだいたい同じなので、↑のエントリも是非あわせてごらんください。


必要な道具

 
  • EPROMライタ
  • EPROM(今回は入手性から27C512を使用)
  • ミニカートリッジ自作用キット(基板+ピンコネクタ)
  • 0.1μFのコンデンサ
  • 10KΩの抵抗2個(多分1個でも良さそう、もしかしたらなくてもいいのかも)

作成手順


(1) ピンコネクタを基板本体に半田付けする

どっちの面に半田付けするのかは、明確には出品情報には書かれていなかったような気もしますが、実装例の写真から判断できると思います。中の人はピンの番号が印字されている方が表になるように半田付けしました。

(2) コンデンサを取り付ける

C1/0.1と印字されているところにコンデンサを取り付けます。
中の人の手元にあるコンデンサは無極性(足のピンの長さが同じ)だったので、向きは気にせず半田付けしました。

(3) ジャンパを半田付けする

今回、中の人は27C512(512Kbit=64KByte)のEPROMを使いましたので、基板裏面の説明や回路図を参考に、J4のジャンパ(GND)を半田でショートしました。

また、A14、A15という謎の設定があってよく分からなかったのですが、これはどうも「アドレスライン」というものらしく、256Kbit(32KB)以下の場合はA0~A14の15ビットでよいのですが、512Kbit(64KB)のROMの場合はA0~A15の16ビットのアドレスラインを使わないと後半32KB分のROMにアクセスできないので、これを有効にする必要があるみたいです。

なので、512KbitのROMを使う場合は、J5とJ6の両方のジャンパをショートするんだと思うんですが、ジャンパの端子が3つあるので、どれとどれをショートすれば良いのか分かりませんw 

回路図からあてずっぽうで予想するに、基板右端にあるスイッチ用の回路にスイッチを付ければ、後からA14/A15のアドレスラインの有効、無効を切り替えられるようになると思われるのですが、当面、中の人は27C512しか使わないと思われるので、常時A15を有効で良かろう、と判断。回路図の雰囲気からJ5・J6の2番と3番をショートと考えました。

でも、実際の基盤のジャンパのどれが1番なのかわからないというww
まあまあ、普通は左から1→2→3なんじゃない?という当てずっぽうで、真ん中と右のジャンパをショートしました。

(4) 抵抗を取り付ける

基板の様子および実装例の写真から、どう見てもチップ型の抵抗を想定しているのは分かっているのですが、何せ中の人の手元にはチップ型の抵抗はなかったもので、ちょうどあった10KΩのリード型抵抗をかなり無理矢理な感じで取り付けました。

でも、回路図をよく見ると、ジャンパでJ5/J6の1番と2番を接続しないと抵抗に通電しないような気がするので、実はなくても良かったのかもしれませんww

(5) ROMソケットを取り付ける

先にROMソケットを付けてしまうと、(4)までの作業の邪魔になりそうだったので、ROMソケットは最後につけました。

(6) ROMイメージを焼いたEPROMをソケットに装着する

ミニカートリッジスロットは、CX7M/128の場合、スロット3-1(基本スロット3の拡張スロット1)に割り当てられます。形状は違いますが、MSXから見れば単なるスロットの1つという扱いなので、おそらくはMSXの普通のROMイメージでも使えるはずです。

とはいえ、まだ検証の途上なので、いろいろ試そうとしている方がいらっしゃれば、ご注意ください。動作実績があるROMが増えてきたら、こちらのエントリでも追記する予定です。

ピンが上下の区別がないので、最初逆に挿して起動しなかったのですが、向きは、EPROMや抵抗、コンデンサ、ジャンパを実装した面が下になるようにセットします。裸の基板のままだとガイドなどがないので、ちょっと挿しにくい(ずれて挿してしまったりもしやすい)のですが、しっかり差し込みましょう。

(7) MSXを起動して動作確認

お好きなROMが認識すれば成功です。
確認には、TINY兄貴の「TINY SLOT CHECKER」がお手軽でわかりやすいのでおすすめです。

TINY SLOT CHECKER for MSX ~スロットの状態をチェックしたい~


というあたりをとりあえずの速報(遅報?)としてツイートしたのが↓なんですが、当社比で過去にないほどのリアクション(リツイートといいね)をいただいてます。確かに、中の人もリアルタイムでMSX使ってましたが、こんなスロットが存在するとか、ついこないだまで全く知らなかったですから、ちょっとびっくりしますよねww

当該機種のオークション相場が上がってしまわないか心配w


MSX(というかほぼヤマハww)は沼が深そうです。

確か、中の人のMSXの再入手動機はTINY兄貴の演奏デモプログラムを動かしてみたいだけだったはずなのに、なぜ、こんなことをしているのだろうか・・・w
現場からは以上です。




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