SN76489 dual + YMZ285(AY-3-8910互換)でEXED EXESのBGMを演奏させる 12月 20, 2025 リンクを取得 Facebook × Pinterest メール 他のアプリ YMZ285+SN76489 dualシールドを作り「EXED EXES」のBGMを演奏させてみました。 ## EXED EXESとは 「EXED EXES」というのは、1985年にカプコンからリリースされた業務用縦シューティングゲームです。 中の人は、子供のころにスーパーの一角にあったゲームコーナーでこのゲームをよく遊んでいました。 ならば、ゲーム自体に思い入れが強くてこのゲームの楽曲を演奏しようと思い立ったのかというと、実はそうではありません… このゲームは音源ICとしてSN76489を2個使っている…というだけにとどまらず、さらにAY-3-8910まで使って音源IC3個で演奏しているのです。 こんな構成でBGMを奏でるゲームは珍しく、某VGMのアーカイブサイトを見ても、おそらくこのゲームだけではないかと思われます。 ## YMZ285を使ったシールド作成 ちょうどSN76489デュアル構成のシールドも作ったところでしたので、あとはAY-3-8910をシールド化できれば再現できるのでは…と思いチャレンジしましたが、残念ながらAY-3-8910ではうまく行かず、気分転換にと買っておいたAY-3-8910の互換ICであるYMZ285を鳴らしてみたところ、なんとかうまく行ったため、YMZ285シールドを作り、これをSN76489デュアルのシールドと組み合わせて同等の演奏環境を作成しました。 そもそも、AY-3-8910は入手がなかなか困難で、eBayやAliexpressでいわゆる「音源ICガチャ」を引くか、レトロPCの実機から引き抜くしかないような状況です。 実際、中の人の手元にあるAY-3-8910やYM2149はAliexpressのガチャで入手したものと実機から抜き取ったものです。 中の人の音源ICガチャの結果は3/8でしたw ですが、YMZ285は現在でも新品で秋月電子や樫木総業などの国内のショップから入手が可能です。 価格も1個275円~300円と安価で現代での利用には良い選択肢かもしれません。 ## 実際の演奏での音源の使い分け EXED EXESのVGMのプレイリストは以下のようなものです。 ``` 01 Credit 02 Start Demo ~Main BGM 03 Hi-Point Area BGM 04 Main BGM 05 Boss 06 Boss Clear 07 Exed Exes (Stage 16 Boss) Clear 08 Game Over 09 1st Place Name Entry 10 1st Place Name Entry End 11 Below 2nd Place Name Entry 12 Below 2nd Place Name Entry End 13 Ten Million Point Achievement BGM 14 Ten Million Point Achievement Name Entry 15 Power Up A 16 Power Up B 17 Power Up C 18 Power Down ``` 実際の演奏でどの音源がどう使われているかですが、クレジット音(01)はAY-3-8910(AY)のみ、メインBGM(02/04)はSN76489x2のみとなっています。 ゲームスタート時の重厚なファンファーレはAYとSNが両方使われています。 総じて、主なメロディはSNが担当している感じで、軽やかな高音の音色が印象的ですね。 AYは重厚な音色で、主にスタート時のファンファーレ(02)やパワーアップ、ダウン時のメロディ(15~18)、ボス戦(06~07)、ExedExes撃破時(07)、1000万点到達時(13)などの楽曲に使われていて、全体には脇役ポジながらも、不可欠な存在感を放ちます。 シールド作成中に試行錯誤していたときは、AY側の音が鳴っていなかったので、SNx2だけで鳴らしていたのですが、このときにメインBGMは実際の楽曲と同じだと気づきメインBGMはSNだけで演奏されていると知りました。 せっかくシールド化して、実音源を使っているので、比較用の楽曲を収録してAYだけ、SNx2だけとどうなるのかを実演してみるのも面白いかもしれないですね… ## YMZ285の使い方について ところで、今回AY-3-8190の代わりに使用したYMZ285という音源ICですが、このICはROMを搭載しており、そこに書き込んだ楽曲データを信号を送って指示することで自動演奏させるという仕組みになっており、本来は外部から直接レジスタにアクセスして発音させる、ということを想定していない、デモ演奏用とでもいうべきものになっていました。 前述の通り300円前後と安価で入手できるのですが、そのままだとレジスタアクセスして音を鳴らすこともできず、かといってROMにデータを流し込もうとしても通信の形式やROMにおくデータのフォーマットが公開されていないため、購入時にはROMに何も書き込まれていないらしいので、デモ演奏すらもできないのですから、まあそれはそう、という感じです。 そのため界隈では「地雷」扱いの物件とされていたらしいです。ちょっと不遇ですね。 しかし、oykenkyuさんのブログ「AY-3-8910(PSG)・SSG(YMZ294等)の使い方➀」にて、 「**`/TEST2`に`GND`を入れるとテストモードが有効になり、データバスからデータが渡せる**」という情報があり、中の人もこれに基づいて制御してみると、無事に音を鳴らすことができました。 テストモードにすると、5ピンの「`/CS`」が「`WE`」に、6ピンの「`/WR`」が「`A0`」になるそうです。 `A0`というのはヤマハの音源ICによくみられるもので、例えばYM2151などでも使われていますが、レジスタにアドレスとデータのどちらを入力するかを切り替えるためのピンです。 音は23ピンの「`SO`」から出力されます。内部で1kΩの抵抗を経由しているので、そのまま出力しても、音量が大きすぎたりはしないようです。 24ピンには「`PO`」というピンがあり、これはYMZ285が内蔵しているPCM音源の出力ですが、テストモードではこのピンにはノイズが乗るので、今回は繋がず開放にしています。 そもそも`/TEST2`=Hだとテストモードが無効になりデータが送れなくなり、実質`CS`(Chip Select)を無効にしているのと同じになり、しかし、テストモードだとCSピンが変化して無くなってしまうので、ICの選択ができなくなってしまうのではないか?と思えますが、`WE`ピンに変化した`CS`ピンは内部プルアップなので、`/TEST2`を実質チップセレクトとみなせば他の音源とも同時使用が可能になります。 このあたりのシールド作成のあれやこれやの話題は、別のエントリで解説したいなあと思っていますので、どうぞお楽しみに… EXED EXESの演奏させてみた動画はこちらです。 ↓↓ YMZ285+SN76489 dualシールドで「EXED EXES」を演奏させてみた コメント
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