[WILLCOM] ウィルコムの会社更生法申請についての雑感(1)

ちょっと時間があいてしまいましたが、やはり当ブログとしても思うところを書くべきかと思いますので、雑感を述べたいと思います。

まずはプレスリリースから。

会社更生手続開始の申立に関するお知らせ(ウィルコムプレスリリース 2010/2/18)
http://www.willcom-inc.com/ja/corporate/press/2010/02/18/index.html

ポイントを箇条書きで要約しますと

(0)東京地方裁判所に会社更生手続開始の申立を行った
(1)企業再生支援機構に支援の要請をした
(2)アドバンテッジパートナーズ有限責任事業組合とソフトバンク株式会社に支援を検討してもらっている
(3)サービスは継続して提供する
(4)取引先債権も従前どおりの取引条件で支払う
(5)ただし資本関係のある取引先の債権については別途のお願いをしている
(6)負債総額は約2,000億円

という感じでしょうか。

■ なぜ黒字倒産?2つの足かせ

上記プレスリリースによれば、ウィルコムの最近の決算数字の経常利益は

H18:△273.9億円
H19:△9.8億円
H20:18.6億円
H21:64.0億円

という推移です。ウィルコムといえば、最近1〜2年は純減が当たり前の状況で、さぞや儲かっていないのだろうというのが一般的な感覚だと思うのですが、実はこの2年は黒字決算だったのです。いわゆる黒字倒産というやつなんですね。経営に詳しくないのでよく分かりませんが、黒字倒産というのは、決算上儲かっていても、現金がなくて債務が履行できない、要は財布にも通帳にもお金がないから、カードで買った代金が払えないとか、借金が返せないとか、そういう状況で起こるみたいです。

21年度のIRによれば、現金・預金が33億、売掛金(販売済で代金をこれから回収するもの)が433億、対して流動負債(1年以内に返済すべきもの)が675億ですから、差し引きすると△200億超の赤字です。ちなみに前年度はここの差し引きは70億程度のプラスでした。しかも、このマイナス200億の大半を占めるのが「1年以内期限到来固定負債」の245億円(ちなみに前年は約70億)です。

1年以内期限なにがしというのが、金融機関等からの借入れだとすれば、確かにここ最近の状況と符合するというか、要するに金融機関に返済期限を猶予してもらうか、リファイナンス(今の借入金とは別に融資をしてもらう、いわゆる借り換えのこと)をしてもらわないとその他の取引先にお金が払えない、なので事業再生ADRだかなんだかを始めたりして、どうしても銀行の返済を先延ばしにする必要があったわけですね。

つまりこの決算数字が出た2009年5月末時点で、わかる人はもうかなりまずい状況だと察知できていたのかもしれません。もちろん、私にわかるはずはありませんでしたが。

長くなりそうなので、分けます。

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